木と金属と石油

二次元系とか楽器とか、昔に取り残された今世代のボヤキ。

オタクってなんだっけ?※1

1.他者を傷つける事しか言えないのなら喋るな※2


ペンを握るのが辛くなった。絵を描くのが嫌いになったわけじゃない。こんな絵を描きたい、筆を握りたい、というイメージは湧くし、深夜寝付けない布団の中で突発的に絵を描きたくなる。しかしペンを持てない。持てるのは仕事中だ。気がついたらベースもギターもネックを握った記憶がなかった。

規模は小さいながらもTwitterが炎上した。


小さいとはいえ確実に200以上のアカウントが引用含め絡んできた。一度200まで数えてやめた。数えたのは2波の時で1波目まで遡る気力はなかった。


気がついたらとりあえずほぼほぼ全部一言ずつは返していたけど、落ち着いたらこんな調子。マジでそっとじできるって普段自分から言ったんならしろよ。おかげで自分の過去ツイートを遡ると疲弊する。フォロワーが1000もいかないTwitterの片隅のアカウントでこれ。被害や考えをきっちり表明して、訴え続ける伊藤詩織さんや石川優美さんの比ではない小ささだけど、それでも人間の心を壊すのに十分、というレベルを遥かに超える。去年の年末の自分だったら壊れていた。仮に上手く行った後(うまくいかない社会は非常にまずいが)彼女のような人達の心が壊れてしまわないか、本当に心配になる。


だから思う。他者を傷つける事しか言えないのなら喋るな。それは、黙れ、ではない。人を傷つけるような発言をやめろ、だ。それをしなきゃ話す自由と権利は当然あるし、止められるべきではない。


傷つけないなんてのは無理なんだ。生きているだけで、きっと誰かを傷つける、※3って?


そうかもしれない。でも、誰かを傷つける事のないように意識する事はできるだろ。そういう話だ。


2.路上駐車をしないのは、駐禁のマークがあるからじゃない※4


落ち着いた、とは書いたけれども、消費の対象から外れただけだ。事態が何か変わったわけではない。なんの事はない、彼等が飽きただけだ。


元になったツイートは複数あるがだいたいこの二つ。原文をそのまま載せておく。


「俺がエロゲをプレイしてもエロ同人誌で自慰をしても「オタク達のいうフェミニスト」側から何も言われないのは、たまたま自分が恵まれてるからでも、フェミニスト側の人から特別扱いで見逃されてる訳でもなくて、現実とフィクションの区別がついていて、部屋の外でやらないからなんですわ。」

 

「一言だけ。
公私の区別をつけて楽しむ、そうでないものに対してそれはおかしいと言う。それはオタクとしてだけでなく自分の為でもあります。看板やポップの胸や尻、あれだけやらかしたオタク界隈に於いて、公私の区別と分別がついている事を言葉と行動で示さない者に楽しむ権利を社会は与えません。」


絡んで来たのは一つ目のツイートの1、2人を除いてオタクばかりだった。1、2人のうちの1人は、「エロゲという性的虐待がデフォルトのゲームをやっている時点でやばい」と言ったけれども、それに対して、(エロゲが性的虐待がデフォかは別として)「外に出さないという話であって、私空間でやる分には個人の自由の範疇」と言ってくれたのは、公私の区別が付いているまともな(オタクの)人と、フェミニストを自称、さらにはミサンドリストまで名乗ってる人だった。絡んできたオタク達は、

 


「オタクは表現の自由を行使しているだけ。フェミ(彼等はフェミニストフェミニズム寄りの人に対して蔑称のように使用している事が多い)が燃やした」


Twitterが公共の場www」


「萌えはすでにメインカルチャーだから社会と共存している」


「やったのはオタクじゃなくて企業だ。オタクが経済回してるんだからとやかく言うな」


「フェミに後ろから刺されてて草。今どんな気持ち?」


「ブーメラン投擲会場と聞いて!」


「ならお前のアイコンも性的だから禁止だ」


等々。


表現の自由、守る気ないだろ。


僕をフェミニストの女性と勘違いしたのか、献血ポスターの時に炎上した宇崎ちゃんの画像と一緒に「これでシコった。気持ちいい」と絡んでくる奴もいた。宇崎ちゃんアイコンで。それ、リアルでやったら露出狂だ、とは想像できないんだろうな。にしても、Twitterだろうと初対面の人間にやる事じゃないよね、くらいも思わなかったのか。そしてそれを止める奴もいない。


表現の自由だと言う。じゃあ教えてほしい。


アキバに掲示されたおっぱいだらけのエロゲの看板やスカートをたくし上げて下着を見せる女性のイラスト、僕を含めた男オタクの求める「おっぱいが見たい」や「スカートめくってパンツ見せて欲しい」なんて言う欲求を満たす為(それだけとは言わない)の物を18禁でやれるにも関わらず全年齢の公共の場、ましてや近くに幼稚園や小学校のあるような場所に出さなきゃいけない理由はなんですか?仮に、アキバのメイドカフェの呼び込みのメイドさん(店員さん)に、


「パンツ見せて欲しい」


って言ったらど直球のセクハラで、会社なら懲戒解雇になってもおかしくないぞ?メイドさんはそれ含めて仕事なんて言うなよ?そんなものはペイのなかにゃ入ってない。セクハラはノータッチ!物理的に手を出しているわけじゃない、だからOK!なんて通らねぇよ。普段仕事してる社員の時はセクハラ禁止で、客の時はセクハラOK!な理屈はねぇ。


それらを18禁でやったら表現する事の自由は失われますか?丁寧に言えば、それらが18禁というフィールドがあるにも関わらず、小学生以下から老人まで老若男女が対象となる全年齢の場で、出さなければいけない必然性はなんですか?俺ら男オタクのオカズを全年齢にしなきゃ表現の自由が守れないなら、18禁は表現の自由が損なわれている事になるけど、18禁においてそれ以上のエログロが許容されてる現状をどう認識していますか?

 

別に描写だけであればものによっては18禁ではない。だから出していいと言うかもしれない。でも15禁くらいだよ。純愛もののエロゲがコンシューマー化されてエロシーンが消えて、下着等々の描写がかなり制限されてもセロCかDだよ。駅や路上はセロAじゃなきゃまずくね?っていう程度の認識もないの?本当に小さい子から老人まで使う場所なんだけど?


そういえば、オタクは社会と共存してる!だから問題ないんだ!と言ってきた有名らしい?アカウントがいた。漫画家、らしい。彼の作品がラッピング電車になったんだっけか?送り付けられたラッピング電車の画像は彼の作品のコラボかな?


共存してた、共存できているとして、それは何をやってもいい免罪符にはならないよ、と繰り返し言ったけれども理解されなかったらしい。過去の実績があれどまずいもんはまずい。だからこれまでの活動が評価されていようと、某写真家が相手の女性にした事は免責されない。


ただ、彼の作品のコラボに問題があって炎上したわけではない。だからそのまま共存できたコラボとして胸を張ればいい。もっと言ってしまえば、彼の作品のコラボは萌えキャラと社会の共存のモデルになりうるかもしれない。


そういったコラボをやる分には言われない。にも関わらず老若男女問わず利用する場でスカートたくし上げ、おっぱい&尻パッド。オタク達は公私の区別がついているから路上や公共の場でオナニーしないと言う。だからこそ訊きたい。


「俺ら男オタクのオナネタを、老若男女誰もが利用する公共の場でオナニーしないのに開陳しなきゃいけない必然性はなんだよ?」 


と。

 

 


3.嫌な事をされれば傷つくし、理不尽な事をされれば怒りも湧く※5


最初のツイートのような事を言うと、必ず来るのが、「フェミがマニアックなAVだのを持ち出してきた」という。それは表現の自由の話じゃない。それ以前の話だ。


AV女優側が、身体に物凄い負担がかかる、負傷するレベルのプレイを、経済的余裕などから、要求されても断れないような状況があるから問題になっている。どんな仕事であれ、身体や心を壊してまで(傷つけてまで)やる仕事はない。それを経済的理由や会社との力関係を利用してやらせている(女優側が断れない)現状があるからだ。会社の利益等の為に、1人の人間の身体と心を犠牲にしている側面が生じているからだ。全てが全てそうではないのかもしれないが、それ理由にその状態を無視していい訳がない。


AVであれ、エロゲキャラのCVであれ、女優さんや声優さんが、


「この内容とギャラなら、まぁやってもいいかな」


と思えるところが本当に最低ラインだろう。立場の上下や、経済的理由からそう思わざるを得ない状況をわかっててやる奴は下衆だ。


この話の時、ananのセックス特集で男性俳優も嫌だったがやらされた、という話を君達は持ち出すかもしれない。だからはっきりと書いておく。


男女関係なくどっちも問題だ。まずいに決まっている。


だからこそ、セックスそのものや性暴力そのものである物において、強要は問題の度合いがさらに深刻になる。そして、何故それらの問題に於いて女性が話題に上がる事が多いのかは、これまでがあるからだ。


女性が消費される側にいて、男性が消費する側だったから、そして女性と男性の扱い(待遇)に明らかな差があったから。


過去自分がいた会社でも、本社工場ではない地方の工場では圧倒的に高卒の女性を採用していた。


「(先先代の)社長が社員女性の尻を撫でて、悲鳴が始業ベルがわりだった」


という話や、


「社員旅行の時は女性社員が皆ビールを持って男性社員に注いで回る」


があった。


僕自身も、その地方の工場に研修で出張する時、直属の上司から、


「向こう(その工場)は若い女の子多いから遊んで来なよ」


と言われた。それくらいあからさまだった。場所によっては今でも。もしかしたら今でも、ではなく今も過半数、かもしれない。


待遇面で言うなら、「逃げ恥」が流行っていた時、昔東京にマンションを借りていた父と母に訊いた。2人は家賃を折半していたのか?と。2人は、


「当時は男性と女性ですごく給料に差があった。その差の上で折半するのは不平等だ。だからお互いの給料を見た上で比率を決めた」


と。それぐらいごくごく当たり前に格差があって、この社会はそのまま来てしまった。まぁ、ここに関しては国が放置した、ないしはまともに取り組んで来なかった、とも言えるけど。だから、格差の強いより弱い側を無くして平らにすると言う事は、逆転させると言う事じゃない。低い位置から上げる事で、全員を同じにする、より弱い立場にいる人を対等にする事で男女関係なく意思を尊重できるようにしよう、という話だ。全員だから、当然男性も含まれている。


オタク界隈の話に戻す。ananが話題になった時、僕はTwitterでこうツイートしていた。


「ananに出ている男性にはマネージャーに説得されて出たくなかった人もいる、という話、当然それはしてはいけない話。それと同時に男オタクの僕としては、アダルトゲームの声優さんの藤崎ウサさんのWikiの文章を思い出してしまうんだよな。僕らが楽しんでいるオタク界隈での話なのですけどね。」


藤崎ウサさんのWikipediaのページには、こう書かれている。


(以下引用)
デビュー後初めて演じたエッチシーンでは、最初台本を読んだ時に「こんなのできない」と泣いてしまったという。事務所の社長からは「通る道だから」と諭されマネージャーからも勉強のためにと18禁のアニメを渡されたが、遠巻きに観たりエッチシーンの前に一時停止したりとなかなか正視することもできないぐらい苦手だったとのこと
(引用終わり)


Wikipediaの信憑性について疑問がある事は確かだ。これが本当かまでは知らない。ただ、これまでのこの社会を考えれば、アダルトゲーム界隈においてこんな事が他にも多数あってもなんら不思議ではない。なんなら深夜アニメ等でもそれがあってもおかしくない、というくらい、想像はつかないだろうか?


実際の行為を伴わない分だけ嫌悪感は少ないかもしれない。でも、この漫画のこのキャラは好きだけれども、この描写やだなぁ、普段のキャラ演じるのは楽しいけど、このエッチな所は演じたくない、嫌だな、は普通にありうる。今では深夜アニメでもおっぱいパンチラ赤面シーンはいっぱいある。エロゲは言うまでもない。程度の差こそあれ、萌え界隈に存在する(エロゲ含む)ゲーム、アニメ等々に於いて、AVの強要と同じ性質の問題が存在する(可能性)事を俺ら消費者側のオタクは認識すべきだ。二次元だから被害者はいない、三次元のリアルな女体を消費していない俺らオタクは無害で誠実で優しい、なんて思い上がりだ。


4.ロビンフットがいねぇなら、ロビンフットになればいい※6


オタク界隈にいると嘲笑をぶつけてくる彼等が苦しめられてきたとか差別されてきたとか虐められてきたとかを耳にする事は多々ある。オタク界隈の某アルファアカウントなんかが代表例だろう。僕も同じだったりする。どんな事があったかは書かないけれども、担任らが朝一に学年集会をして問題に上がるくらいではあった。だからそれらがどれほどキツいものかはよく知っている。


だけど、今のオタクがやっているのは暴力の再生産だ。


前に書いたように、君らが苦しんで来た事、虐められてきた事をもって、別の他者を嘲笑したりする事は正当化されない。


それとは別に、DVも再生産されてしまう事が多い事を付け加えておく。


だからこそ時々聞くこの言葉は間違っている、と言える。


「傷ついた数だけ優しくなれる」


これは正しくない。当のオタク達が行動をもって証明している。


僕もこの言葉を知っている。僕の場合、1番に思い浮かぶのはfripSideHeaven is a Place on Earthだ。好きな曲の一つでもある。でもこの言葉は正しくない。だが、歌詞としてわかる。


「最後に笑うのはきっと、真面目でひたむきな奴だから」※7


そう信じてやってきた綾崎颯がそれを投げ捨てかけたのを助けられて、またそれを信じてまっすぐ進む事を選べたからだ。


誰だって心は脆い、すぐに壊れる。そして元に戻らない。そしてガラスのハートなんて言うけれど、割れたら溶かして型にはめて元通り、なんて事はない。できたとして、セロテープでぐるぐる巻きにするくらいだ。


だからこそ


「傷ついた数だけ優しくなれる」


そう信じなきゃやってられない。自分が優しい人間になりたいからそうやって自分の背中を押す。間違っても傷ついてきた事の多さをドヤって他者を傷つける事を正当化する為じゃない。


ただ、未来は変えられる。
だから、


傷ついた数だけ優しくなれると思っていた、でもそれが間違っていて、それを理由に俺は優しいんだと他人を叩く奴がいることも知っている。でも俺はこれまで傷ついた数だけ優しくなる。そうなろうとするとするのをやめないのは生きてるって事をそいつに懸けたんだ。そいつを嘘にしたくないからだよ。※8


そう言えばいい。


5.素朴な疑問※9


自分達の時には傷ついた数だけ優しくなれると言う。自分達は優しくて誠実だと言う。個人には好き嫌いがあって、それを尊重できると言う。なら何故それらを使ってそれらが好きではない、ないしは嫌いな人にまで送りつけてマウントを取る?オナネタを送りつけて嫌がらせをする?好きな作品じゃないのか?好きで好きでたまらないのに、何故それをする?作品へそれほどの愛を持ちながら、何故大切な作品を凶器に変える?※10


エロを個人の空間で楽しむ権利は当然ある。それは誰も否定できない。でも俺らオタクのエロはどう見ても(勿論例外ないとは言わない)女体の消費だ。紙とペン、ないしペイントソフトで描かれたものに、女体というエロを見出してきた。それは紛れもなく俺らの都合でしかない。俺ら男オタクの我儘勝手だ。だからこそ、それぞれを尊重した上で快適な空間でなければならない公共の場で、俺らの都合のエロを消費する事に正当性はない。


だからオタクを見ていて思う。


「君達は自分達が何を消費しているのかわかっているのか?」


と。わかっているはずだよな。なんたって「オタク」なんだから。
その上でもう一度訊きたい。


「俺ら男オタクのオナネタを、老若男女誰もが利用する公共の場でオナニーしないのに開陳しなきゃいけない必然性はなんだよ?」

 

でもきっと、わかってないだろうな…。あのTwitterで、俺は「何度そう言う事を言ってんじゃねぇ」って言ってもなおおんなじ絡み方をし続けてきたもんなぁ…。オタクを見てるとほんとに素朴な疑問が浮かんでくるよ。

 


オタクって、なんだっけ?

 

 

 


引用、元ネタ
※1:オセロ 樋口ナナ(やや) 
※2:銀牙伝説WEEDオリオン 真田入道雲
※3:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている 平塚静
※4:ラーメンズ 不透明な会話
※5:生徒会の一存 紅葉知弦
※6:Black Lagoon ロック
※7:ハヤテのごとく! 三千院帝
※8:Black Lagoon タケナカ
※9:オセロ第4話
※10:頭文字D スパイラルゼロ 池田